岩倉市でも健康診断の結果が返ってくる時期になり、「血糖値が高めです」「HbA1cが基準を超えています」と書かれた紙を手に、どうしたものかと迷っていらっしゃる方が増えてきました。自覚症状がないため、「来年また測ればいい」と引き出しにしまってしまう方も少なくありません。けれども糖尿病で本当に気をつけていただきたいのは、実は血糖値そのものよりも、その先にある心臓と血管です。この記事では、岩倉市で内科・循環器内科の診療を行っている立場から、血糖値やHbA1cを指摘されたときに何を考えればよいかをお伝えします。あわせて、すでに糖尿病の治療を続けているものの、なかなか数値が落ち着かずお困りの方に向けて、当院で始まった糖尿病専門医による木曜午前の診療についてもご案内します。
血糖値・HbA1cが高いとき、体の中で何が起きているのでしょうか
健診でよく使われるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1〜2か月の血糖値の平均を映す数値です。前日だけ食事を控えても下がりませんので、日ごろの状態がそのまま出ます。一般に、空腹時血糖が126mg/dL以上、随時血糖が200mg/dL以上、HbA1cが6.5%以上のいずれかに当てはまる場合、糖尿病型と判定され、くわしい検査が必要になります。
一方で、そこまで届かない「境界型」「予備群」と呼ばれる段階の方も多くいらっしゃいます。ここで安心してしまいがちなのですが、血管の変化は、糖尿病と診断される前の段階からすでに始まっていると考えられています。血液中の糖が多い状態が続くと、細い血管も太い血管も少しずつ傷んでいきます。痛みもかゆみもないまま進むため、気づいたときには動脈硬化がかなり進んでいた、ということが起こりうるのです。
体重の増加が背景にあることも多く、内臓脂肪が増えるとインスリンの効きが悪くなり、血糖だけでなく血圧やコレステロールも同時に上がりやすくなります。健診で複数の項目に印がついている方は、それぞれ別々の問題ではなく、ひとつながりの状態として考えたほうが対策を立てやすくなります。
循環器専門医の視点——糖尿病の方の心臓は「痛みを出さない」ことがあります
糖尿病の合併症というと、目(網膜症)、腎臓(腎症)、神経障害の三つがよく知られています。もちろんどれも大切なのですが、循環器を専門としてきた立場から強くお伝えしたいのは、糖尿病のある方の経過を大きく左右するのが、心筋梗塞・脳梗塞・心不全といった心臓と血管の病気だということです。
そしてもうひとつ、知っておいていただきたい特徴があります。糖尿病が長く続くと痛みを伝える神経の働きが鈍くなるため、心臓の血管が細くなっていても、胸の痛みという形でサインが出ないことがあります。「胸は痛くないから心臓は大丈夫」とは言い切れないのです。実際に、はっきりした胸痛がないまま、なんとなく息が上がる、疲れやすい、という訴えで見つかることがあります。だからこそ、症状が出るのを待つのではなく、検査で確かめておくという考え方が大切になります。
近年は、血糖を下げるだけでなく心臓や腎臓を守る働きが期待できるお薬も使われるようになり、糖尿病の治療は「血糖値の数字を下げる治療」から「心臓・腎臓まで含めて全体を守る治療」へと考え方が広がってきています。どの治療がその方に合うかは状態によって異なりますので、一度きちんと調べたうえで一緒に決めていくことが大切です。
こんな方は、一度心臓の状態も確かめておきましょう
次のような方は、血糖の評価とあわせて心臓や血管の状態も調べておくことをおすすめします。
- ● 健診で血糖値やHbA1cを指摘されたまま、医療機関を受診していない
- ● 糖尿病の治療中だが、心電図や心臓の検査をここ数年受けていない
- ● 治療を続けているのに、HbA1cがなかなか目標に届かない、あるいは低血糖を繰り返している
- ● 血糖のほかに、高血圧やコレステロール・中性脂肪の異常も指摘されている
- ● たばこを吸う、または以前に吸っていた
- ● ご家族に心筋梗塞や脳卒中になった方がいる
- ● 階段や坂道で息が上がる、足がむくむ、動悸がすることがある
- ● いびきが大きい、睡眠中に呼吸が止まると言われたことがある
胸の中央が締めつけられる・押さえつけられる感じが数分以上続く、冷や汗を伴う、あごや肩・みぞおち・背中に強い痛みが広がる、急に息ができないほど苦しくなる——これらは心筋梗塞などの可能性があります。糖尿病のある方では痛みが軽く感じられることもありますので、様子を見たり当院の診療時間をお待ちになったりせず、ただちに救急要請(119番)を行ってください。
今日から始められる、血糖と体重への工夫
生活の工夫だけで解決するとは限りませんが、治療を始める場合でも土台になるのが毎日の過ごし方です。無理のない範囲で続けられることから始めてみてください。
- ● 野菜やたんぱく質のおかずを先に、ごはんやパンを後にすると、食後の血糖の上がり方がゆるやかになりやすいとされています
- ● 甘い清涼飲料やスポーツドリンクは血糖を上げやすいため、普段の水分はお茶や水を基本に
- ● 食後に10分ほど歩く習慣を、1日2〜3回。まとまった運動時間が取れなくても効果が期待できます
- ● 体重は、現在の体重から3%程度減るだけでも血糖・血圧・脂質の改善が期待できるとされています
- ● 睡眠不足やいびきも血糖に影響することがあります。眠りの質も一緒に見直してみてください
- ● 自己流の極端な食事制限は避けてください。お薬を飲んでいる方では低血糖につながることがあります
目標は「完璧にやること」ではなく「続けられること」です。1か月、2か月と続けたうえで数値がどう動いたかを確認し、必要であればお薬の力を借りる。その順番で十分に間に合う方も多くいらっしゃいます。
当院でできること——血糖と心臓を、同じ場所で
当院は内科と循環器内科を診療しており、血糖や体重の管理と、心臓・血管の評価を同じ場所で行えることを大切にしています。健診結果の紙をお持ちいただければ、そこから何を調べるべきかをご説明するところから始められます。当院で行っている主な検査は次のとおりです。すべての方に全部を行うわけではなく、お一人おひとりの状態に合わせて必要なものを選んで行います。
- ● 血液検査・尿検査——HbA1c、血糖、コレステロール、中性脂肪、腎臓の働きなどを確認します。HbA1cは院内で迅速に測定でき、当日中に結果をお伝えできます
- ● 尿中微量アルブミン検査——腎臓へのダメージを早い段階でとらえるための検査です
- ● 心電図検査——不整脈や、心臓の血流の異常を示す変化がないかを調べます。必要に応じて、24時間のホルター心電図や、数日間装着する長時間心電図で日常生活中の状態も確認します
- ● 心臓超音波検査(心エコー)——心臓の動き、壁の厚さ、弁の状態を確認します
- ● 頸動脈超音波検査——首の血管の壁の厚さやプラークの有無から、全身の動脈硬化の進み具合を推測します
- ● ABI・血圧脈波検査(CAVI)——腕と足の血圧の比較や脈波から、いわゆる血管年齢や足の血管の詰まりを調べます
- ● 胸部レントゲン検査——心臓の大きさや肺の状態を確認します
- ● 持続血糖測定(CGM)——腕に小さなセンサーを付け、食事や睡眠中も含めた血糖の動きを数日〜2週間記録します。必要な方に行います
- ● 睡眠時無呼吸の簡易検査——いびきや日中の眠気がある方に、ご自宅で一晩装着していただく検査です。血糖や血圧にも関わります
- ● 食事・運動・体重についてのご相談と、必要に応じたお薬による治療
- ● 専門的な治療や当院で行っていない検査が必要な場合の、医療機関へのご紹介
木曜午前は、糖尿病専門医による診療を行っています
糖尿病の治療は、お薬の種類も考え方もこの10年で大きく変わりました。「長く治療しているのにHbA1cが下がりきらない」「お薬を増やしても数値が安定しない」「低血糖が心配でお薬を減らしたい」「インスリンを続けるべきか迷っている」——こうした、いわゆるコントロールが難しい状態の方にこそ、糖尿病を専門とする医師の目が役に立つことがあります。
糖尿病専門医による診療のご案内
日時: 木曜日 午前(9:00〜12:00)
2026年9月は第1・第3木曜日、10月からは毎週木曜日に行います。
予約は不要です。通常の診療時間内にそのままお越しください。健診結果やお薬手帳、ほかの医療機関で治療中の方は直近の検査結果をお持ちいただけると、より具体的なお話ができます。
当院は循環器内科と内科を診ていますので、糖尿病専門医の診療と、心臓や血管の評価、体重や血圧・脂質の管理を同じ場所で組み合わせられるのが特徴です。健診で指摘されたばかりの方はもちろん、すでに治療中で「このままでいいのだろうか」と感じている方も、どうぞ木曜午前をご利用ください。現在かかりつけの医療機関がある方も、ご相談だけでも構いません。
「糖尿病と言われるのが怖くて受診していない」というお気持ちもよくうかがいます。けれども、早い段階でわかるほど、できることの選択肢は多く残っています。数値を責めるための場所ではありませんので、どうぞ気楽にお越しください。
まとめ——健診の紙を、引き出しにしまう前に
血糖値やHbA1cの異常は、痛みもなく進むぶん後回しにされがちですが、その先で本当に守りたいのは心臓と血管です。糖尿病のある方では胸の痛みというサインが出にくいことがあるため、症状を待たずに確かめておくことに意味があります。健診の紙が手元にあるうちに、一度ご相談いただければと思います。すでに治療中で数値に悩んでいる方は、糖尿病専門医が診療する木曜午前(9月は第1・第3週、10月からは毎週)にお越しください。予約は不要です。当院は名鉄犬山線 岩倉駅の近くにあり、駐車場もご用意しています。江南市・北名古屋市・小牧市の方面からもお車でお越しいただけます。
のざき内科・循環器内科
愛知県岩倉市大地新町3-43(名鉄犬山線 岩倉駅近く・駐車場あり)
診療時間: 月・火・木・金 9:00〜12:00/16:00〜19:00、土 9:00〜12:00/14:00〜17:00
お電話でのご相談・ご予約 0587-37-2018
この記事の執筆者
のざき内科・循環器内科 院長 野﨑 俊光
日本循環器学会認定 循環器専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医。愛知県岩倉市で内科・循環器内科・小児科・リハビリテーション科の診療を行っています。
















