「痩せたけれど、この薬をいつまで続ければいいのだろう」「やめたら、また元の体重に戻ってしまうのではないか」
GLP-1受容体作動薬(マンジャロ、ゼップバウンド、リベルサスなど)による医療ダイエットを続けている方から、私たちが最もよくいただくご相談です。
結論から申し上げます。この不安は正しいものです。そして、正しく設計された「やめ方」があれば、乗り越えられるものでもあります。
このページでは、なぜリバウンドが起こるのかという医学的な理由と、当院が実際に行っている「卒業までの道筋」を、すべてお伝えします。
「やめたら太る」は本当です。
ただし、やめ方次第です
まず、目をそらさずに事実からお伝えします。
研究データが示す事実 ― 急にやめた人の8割以上が戻った
チルゼパチド(マンジャロ・ゼップバウンドの成分)を使った国際的な大規模試験(SURMOUNT-4)では、次のような結果が報告されています。
平均で約21%の減量に成功した方々を2つのグループに分け、一方は薬を継続、もう一方は薬を中止しました。両グループとも、食事と運動の指導は同じように続けています。
その1年後――
薬を続けたグループ
89.5%
が減量した体重の80%を維持
薬をやめたグループ
16.6%
が減量した体重の80%を維持
つまり、薬を急にやめた方の8割以上が、食事も運動も頑張っていたにもかかわらず、体重が戻ってしまったのです。
これは、「薬をやめる」という行為そのものに問題があるのではありません。「やめ方」が設計されていないことに問題があるのです。
なぜリバウンドするのか
― 意思の弱さではありません
体重が戻ってしまうと、多くの方が「自分の意志が弱いからだ」と自分を責めてしまいます。しかし、これは医学的に見て、まったくの誤解です。あなたの体には、体重が戻る「仕組み」が備わっているのです。
食欲ホルモンの反跳
GLP-1受容体作動薬は、脳の食欲中枢に働きかけて「お腹が空かない」状態をつくります。薬をやめると、抑えられていた食欲のシグナルが戻ってきます。これは意志の問題ではなく、ホルモンの働きです。
しかも、この食欲は「元に戻る」だけでなく、一時的に以前より強く感じられることがあります。ブレーキを踏み続けていた足を離したときのような反応です。
代謝の適応(体が省エネモードになる)
体重が減ると、体はそれを「飢餓」と認識し、消費エネルギーを減らして生き延びようとします。これは人類が飢えを生き延びるために獲得した、優れた生存機能です。
つまり、減量後のあなたの体は、同じ食事量でも太りやすい状態になっています。ここで薬をやめて食欲だけが戻れば、体重が戻るのは当然の帰結です。
筋肉が減ると「戻りやすい体」になる
急激に食事量が減ると、体は脂肪だけでなく筋肉も分解してエネルギーにします。筋肉は消費エネルギーの大きな部分を担っているため、筋肉が減ると基礎代謝はさらに落ちます。
そして、リバウンドで戻ってくるのは、主に脂肪です。減量とリバウンドを繰り返すたびに、筋肉が減って脂肪が増える――これが「ダイエットを繰り返すほど痩せにくくなる」と言われる理由です。
だからこそ当院では、減量中もたんぱく質をしっかり摂っていただくようお伝えしています(目安は目標体重1kgあたり1.2g/日)。厳しい食事制限ではなく、「肉・魚・卵・豆腐・乳製品のどれかを毎食」という程度で構いません。
リバウンドを防ぐ4つの原則
― 薬をやめる前にできること
リバウンドの仕組みが分かれば、対策も見えてきます。当院が減量期からお伝えしている4つの原則です。特別なことは何もありません。
原則1 たんぱく質だけは、減らさない
食事量が減っても、たんぱく質の量は保ってください。目安は目標体重1kgあたり1.2g/日です。体重60kgを目指す方なら、1日およそ72g。肉・魚・卵・豆腐・乳製品のどれかを毎食に入れる、という程度の意識で構いません。
なぜこれだけを強調するのか。筋肉が保たれていれば基礎代謝の低下が抑えられ、薬をやめたあとの「戻りやすさ」が変わってくるからです。当院が全員に共通してお願いしている生活指導は、実質これ1つだけです。
原則2 体重は「毎日」測って、記録する
減量中よりも、むしろ卒業後に大切になる習慣です。体重は日々1〜2kg変動しますから、1日だけの数字に一喜一憂する必要はありません。見るのは流れです。
体重が戻り始めるとき、多くの方は体重計に乗らなくなります。数字を見るのが怖くなるからです。しかし、2〜3kgの段階で気づけば立て直しは簡単で、10kg戻ってからでは大仕事になります。測り続けることそのものが、最も安価で確実なリバウンド対策です。当院では記録用の「肥満外来ノート」をお渡ししています。
原則3 減量のペースを、急がない
短期間で一気に減らすほど、筋肉が失われ、代謝の低下も大きくなります。つまり、速く減らした体重ほど、戻りやすいということです。
当院で「体重が月に2%以上減っている間はお薬を増やさない」という方針をとっているのは、費用と副作用の面だけでなく、こうしたリバウンドの観点からでもあります。ゆっくり減った体重は、守るのもゆっくりで済みます。
原則4 やめるときは、急に止めない
これが最も重要です。薬を一気に中止すると、食欲を抑えていたブレーキが突然外れます。注射の間隔を段階的に延ばしていけば、食欲の戻り方を確認しながら着地でき、途中で「まだ早い」と分かればひとつ前の段階に戻すこともできます。
この「段階的にやめる」という工程こそが、次にご説明する当院の離脱期です。
当院の答え
― 治療を3つのステップに分けています
多くのクリニックやオンライン診療では、薬を処方して体重が減れば「終了」です。しかし、それでは先ほどのデータのとおり、8割以上の方が元に戻ってしまいます。
のざき内科・循環器内科では、肥満外来を3つのステップに分けて設計しています。
STEP1 減量期(6ヶ月)― 目標体重を目指す
マンジャロ2.5mgから始め、月1回ご来院いただきながら、効果と体調を確認して進めます。
目標は、BMI40未満の方で開始時体重の5〜10%減、BMI40以上の方で10〜15%減です。体重が多い方は、6ヶ月をもう1〜2回繰り返して、無理のないペースで進めます。
ひとつ、当院の方針をお伝えします。体重が月に2%以上減っている間は、お薬を増やしません。効いているのに量を増やすのは、費用の負担が増えるだけで、副作用のリスクも上がるからです。増量するのは、効果が鈍ってきたときだけです。
STEP2 維持期(期限なし)― 減った体重を「守る」
目標を達成したら、すぐに薬をやめるのではありません。お薬を続けながら、減った体重を安定させる期間に入ります。
この期間に期限はありません。「肥満症は慢性疾患である」というのが医学的な事実であり、高血圧や糖尿病と同じように、薬を続けることは何ら失敗ではないからです。ずっと続けていただいても構いません。
STEP3 離脱期(約3ヶ月)― 計画的に卒業する
体重が3ヶ月以上安定し、ご本人が希望された場合、いよいよ卒業の準備に入ります。急にやめるのではなく、注射の間隔を段階的に延ばしながら、食欲が戻ってこないかを確認しつつ、ゆっくり着地します。
維持期の4つのプラン
― 通院も費用も軽くなります
維持期には、4つのプランをご用意しています。診察で相談しながらお選びいただきます。
ここに、当院ならではの仕組みがあります。1回にお渡しする本数は変わりません(原則4本)。注射の間隔が延びれば、その分だけ次のご来院までの期間も延びます。つまり、1回のお支払い額は同じまま、通院の回数と、月あたりの費用が軽くなっていくのです。
| M1 間隔延長プラン(いちばんのおすすめ) | |
|---|---|
| お薬・注射 | 2週に1回の注射 |
| ご来院 | 2ヶ月ごと |
| 1回のお渡し | 4本 |
| お薬代の目安 | 16,000円/回 (月8,000円相当) |
| M2 用量ダウンプラン(一時的な調整用) | |
| お薬・注射 | 週1回・用量を減らす |
| ご来院 | 1ヶ月ごと |
| 1回のお渡し | 4本 |
| お薬代の目安 | お薬の量による |
| M3 経口切替プラン(注射をやめたい方に) | |
| お薬・注射 | 飲み薬(リベルサス3mg)毎日1錠 |
| ご来院 | 1〜2ヶ月ごと |
| 1回のお渡し | 30〜90日分 |
| お薬代の目安 | 9,000円/30日 |
| M4 そのまま継続プラン(今のペースを保ちたい方に) | |
| お薬・注射 | 週1回の注射を続ける |
| ご来院 | 2〜3ヶ月ごと |
| 1回のお渡し | 8〜12本 |
| お薬代の目安 | 16,000円/月相当 |
※金額はマンジャロ2.5mgの場合のお薬代の目安です(別途、再診料500円)。プランは途中でいつでも変更できます。
離脱期の2つのコース
― 卒業の仕方を選べます
| L1 ゆっくり卒業コース(おすすめ) | |
|---|---|
| 内容 | 注射の間隔を3週に1回まで延ばしてから卒業 |
| ご来院 | 3ヶ月ごと |
| お薬代の目安 | 16,000円/回 (月5,300円相当) |
| L2 きっぱり卒業コース | |
| 内容 | お薬を終了 |
| ご来院 | 3ヶ月後に1回 |
| お薬代の目安 | 0円 |
急な中止(L2)は、先ほどのデータが示すとおりリバウンドのリスクが高くなります。それでもご本人が強く希望される場合は、リスクを十分にご説明したうえでお選びいただけます。
もし途中で食欲が戻ってくるサインがあれば、無理に卒業を進めません。ひとつ前の段階に戻して、また安定させてから進みます。
卒業後も、ひとりにしません
卒業3ヶ月後のチェック受診
お薬を卒業された方には、卒業から3ヶ月後に1回だけ、チェック受診をお願いしています(再診料500円)。体重・血圧を確認し、ご希望の方には血液検査(2,000円)も行います。
ここで問題がなければ、肥満外来はめでたく修了です。ご予約は卒業時に受付でお取りしますので、ご自身で覚えておく必要はありません。
\ 卒業後のサポート /
戻ることは失敗ではありません
卒業後1年間は、体重が3%以上戻ってしまった場合、
再診料500円だけで、
卒業前のお薬をその日からすぐに再開できます
(初診扱いにはなりません)。
私たちがこの仕組みを用意しているのには、
理由があります。
体重が戻り始めたとき、
多くの方は「また失敗した」
「先生に合わせる顔がない」と感じて、
受診をためらってしまいます。
しかし、早めに立て直せば、すぐに元に戻せます。
一番もったいないのは、戻り始めたことを恥じて、
そのまま何年も放置してしまうことなのです。
体重が戻ることは、あなたの失敗ではありません。
私たちの想定内の出来事です。
どうぞ、遠慮なく戻ってきてください。
「やめられない」ことは、失敗ではありません
最後に、大切なことをお伝えします。
維持期を続けるうちに、「自分はこの薬をやめられないのではないか」と不安に思われる方がいます。しかし、考えてみてください。
高血圧の薬を10年飲んでいる方に、「あなたは薬をやめられない失敗者だ」と言う人はいません。糖尿病の薬を続けている方も同じです。肥満症も、それらと同じ慢性疾患です。
お薬を続けて、健康な体重を保ち、心臓や血管を守っている――それは立派な治療の成功です。当院が維持期に期限を設けていないのは、そのためです。
卒業したい方には、卒業までの道筋を。続けたい方には、無理なく続けられる方法を。どちらも正解です。
よくあるご質問
マンジャロをやめたら、必ずリバウンドしますか?
急に中止した場合、リバウンドの可能性は高くなります。国際的な大規模試験(SURMOUNT-4)では、薬を中止した方のうち、減量した体重の80%以上を維持できたのは16.6%にとどまりました。ただし、これは「やめ方」が設計されていない場合の話です。当院では、注射の間隔を段階的に延ばしながら数ヶ月かけて卒業する方法をとっており、卒業後1年間の「おかえり保証」もご用意しています。
薬をやめずに、ずっと続けてもいいのですか?
はい、まったく問題ありません。肥満症は高血圧や糖尿病と同じ慢性疾患であり、薬を継続することは医学的に妥当な選択です。当院の維持期には期限を設けていません。ただし、注射の間隔を2週に1回に延ばすなど、費用と通院の負担を軽くする方法をご提案できます。
維持期はどのくらいお金がかかりますか?
最も一般的な「M1 間隔延長プラン」(マンジャロ2.5mgを2週に1回)の場合、1回のご来院で4本お渡しして16,000円、次のご来院は2ヶ月後になります。月あたりに換算すると8,000円相当(別途、再診料500円)です。減量期よりも費用は軽くなります。
体重が戻ってしまったら、また最初からやり直しですか?
いいえ。卒業後1年間は「おかえり保証」があり、体重が3%以上戻った場合、再診料500円だけで卒業前のお薬をその日から再開できます。初診扱いにはなりません。早めにご相談いただければ、短期間で立て直せることがほとんどです。目標設定も一からやり直しにはなりません。体重が戻ることは想定内の出来事として、あらかじめ仕組みに組み込んであります。
オンライン診療で処方を受けていますが、やめ方の相談だけでも受診できますか?
もちろんです。現在の治療内容やお薬の量をお持ちいただければ、当院で今後の方針を一緒に考えます。循環器専門医が血圧・血液検査などの状態も確認したうえで、安全な卒業プランをご提案します。
一度リバウンドすると、次は痩せにくくなりますか?
減量とリバウンドを繰り返すと、筋肉が減って脂肪が増える方向に体組成が変わりやすく、その結果として痩せにくさを感じる方はいらっしゃいます。ただし、これは繰り返しの回数を減らせば避けられる問題でもあります。当院が「やめ方」の設計にこだわっているのは、この繰り返しそのものを起こさないためです。
薬をやめたあと、自分で気をつけることは何ですか?
体重を測り続けること、そしてたんぱく質を減らさないことの2つです。運動や厳しい食事制限を必須とはしていません。続かない対策は対策になりませんので、確実に続けられることだけをお願いしています。卒業3ヶ月後にはチェック受診の機会もありますので、そこで一緒に確認しましょう。
薬の処方だけでなく、
「やめ方」まで一緒に考えます
薬の処方だけでなく、
「やめ方」まで一緒に考えます
のざき内科・循環器内科の肥満外来は、
循環器専門医・総合内科専門医である院長が、
血圧・コレステロール・血糖などの
状態を確認しながら、
安全な減量から卒業までを一貫して担当します。
厳しい食事制限も、つらい運動も強要しません。
「頑張れない自分」を責める必要は、
まったくありません。
岩倉市・小牧市・江南市・一宮市・北名古屋市・
名古屋市北区から通院いただいています。
まずは、お気軽にご相談ください。
〈医薬品の承認状況等に関する重要事項〉
■ ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)
- 国内で「肥満症」の治療薬として承認された医薬品です。保険診療で使用する場合には施設基準等の要件が定められているため、当院では自由診療として提供しています。
- 国内の医薬品卸売業者を通じて正規流通品を仕入れています(個人輸入は行っていません)。
■ マンジャロ(一般名:チルゼパチド)
- 国内では「2型糖尿病」の治療薬として承認されています。減量目的での使用は、承認された効能・効果と異なる「適応外使用」(自由診療)です。
- 同成分(チルゼパチド)の製剤「ゼップバウンド」が、肥満症の治療薬として国内で承認されています。
- 同成分の製剤は、米国FDA(食品医薬品局)においても肥満症治療薬として承認されています(2023年)。
- 国内の医薬品卸売業者を通じて正規流通品を仕入れています(個人輸入は行っていません)。
- 適応外使用において重篤な副作用が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。
■ リベルサス(一般名:セマグルチド)
- 国内では「2型糖尿病」の治療薬として承認されています。減量目的での使用は適応外使用(自由診療)です。
- 同成分(セマグルチド)の注射製剤「ウゴービ」が、肥満症の治療薬として国内で承認されています。
- 同成分の注射製剤は、米国FDAにおいても肥満症治療薬として承認されています(2021年)。
- 国内の医薬品卸売業者を通じて正規流通品を仕入れています(個人輸入は行っていません)。
- 適応外使用において重篤な副作用が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。
■ 主な副作用
- 吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が報告されています。多くは治療の経過とともに軽快しますが、症状が強い場合はご相談ください。まれに膵炎、胆石症、低血糖などが生じることがあります。妊娠中・授乳中またはその可能性のある方、甲状腺髄様癌の既往歴・家族歴のある方、重度の胃腸障害のある方、膵炎の既往歴のある方は、この治療を受けることができません。
■ 効果には個人差があります
- 本ページに記載の臨床試験データは、特定の用量・期間における試験結果であり、すべての方に同様の効果を保証するものではありません。
















